肌の不快な感覚【ゾワゾワ・ピリピリ・チクチク】
肌に触れると、
- ゾワゾワして不快に感じる。
- ピリピリしびれを感じる。
- 皮膚が何かにコーティングされていて、その上から触れられているように感覚が鈍い。
このような症状が起きることがあります。この感覚異常が起きる理由と、改善策はあるのかと言うことについて話します。
感覚異常を引き起こす3つの原因
肌の感覚に異常を引き起こす原因は、主に3つ考えられます。
- 末梢神経障害
- 中枢神経障害
- 中枢神経の機能的な問題

原因によって対処も違いますので、まずは自分の症状の原因が何か調べる必要があります。原因によっては、病院で治療を受ける必要があるものもあります。そのため、まずは一度、病院で検査を受けましょう。
末梢神経障害
一つ目の末梢神経障害について。これは背骨から出た先で神経が何かしらの原因で障害を受けた場合に起こります。皮膚に起きる症状は、痛みやしびれ、感覚の低下です。例えば、椎間板ヘルニアや、坐骨神経痛、胸郭出口症候群が当てはまります。基本的に、整形外科でレントゲンやMRIをとることで診断されます。整形外科ではなくても、神経学的な検査を行う治療院であれば、高い精度で末梢神経障害かどうかを判断することが出来ます。ただし、治療院で診断は出来ません。
主な改善策は、背骨周辺で神経が障害されていれば、症状の場所に対応する背骨周辺の調整して、その部分に負荷がかからないようにすること。背骨周辺ではなく、もっと先、例えば肘や手首、お尻や、足首で神経が障害されていれば、その部分の調整が必要です。先ほども言いましたが、神経学的な検査を行えば、レントゲンやMRIをとらなくても、障害されている場所を、ある程度特定することが出来ます。神経系の検査が出来る治療院であれば、打腱器、知覚計、音叉などの検査器具を持っているはずです。これらの道具を使った検査を行っていなければ、そこは神経障害に対する知識がない可能性が高いです。
中枢神経の物理的な障害
原因の二つ目は、中枢神経障害。中枢神経とは脊髄と脳のことで、この異常によって起こります。例えば、脊髄周辺の腫瘍や、脳卒中や脳腫瘍といった、物理的に中枢神経に問題起きている場合です。これは病院での治療が絶対に必要になります。何かしら、問題が疑われた場合は病院に行きましょう。
中枢神経の機能的な問題
原因の3つ目、これも中枢神経の問題ですが、二番目に話したような、物理的な原因がなく、脳や神経の働きに問題が起こってしまった場合の感覚の異常です。これは、病院で検査を受けても原因不明と言われたり、心の問題と言われることがあります。今回は、この問題について詳しく解説します。
どういった人がこういった問題が起こりやすいかと言うと、原因の一つ目に話した、末梢神経障害から、中枢神経の問題に移行してしまう場合。それとストレスなどの精神的な負荷によって発症する場合があります。
中枢神経がどのような問題を起こすかと言うと、その一つは、頭頂葉にある体性感覚野の異常です。体性感覚野は、体に入ってきた感覚情報(例えば、擦る、押す、振動やなど)、それと、その刺激の入ってきた位置に関する情報を受け取ります。例えば肩を触られたのか、腕を触られたのかといった位置です。この脳の体性感覚野には、小人(ホムンクルス)がいると言われていて、例えば、手に刺激が入れば、脳のホムンクルスの手の位置に情報が伝わります。

この体性感覚野は、体に入ってきた感覚を正確に受け取ってくれないと困ります。正確に受け取れないとどんな問題が起こるかと言うと、例えば、軽く押されているだけなのに、脳が過剰に反応して強い刺激として感じ取ってしまうと、その刺激を痛みと感じてしまいます。逆に脳の活動が低下すると、感覚が鈍くなり、刺激を不快に感じたり、しびれと感じたりすることもあります。あるいは、手に入ってきた刺激が、脳のホムンクルスの腕の方に伝わってしまうと、手を触れられているはずなのに、腕を触られていると勘違いしてしまうこともあります。この場所を間違えてしまうというのは、手に対応するホムンクルスの場所が、図のように変化してしまっている可能性があります。こうなると、触られている場所を正確に特定できなかったり、腕を認識する領域が大きくなっているので、脳の広い範囲で情報を受け取ってしまって、感覚過敏を引き起こすことがあります。
体性感覚野の問題でよく知られている症状と言えば、幻肢痛です。これは、例えば肘から先を事故で失った人が、無いはずの手を痛いと感じてしまう症状のことです。これは、体の一部の手が無くなっても、脳には、手の情報を感じ取るホムンクルスが残っています。この部分が何かしらの理由によって、過剰に働いてしまうことで、無いはずの手に痛みがあるように錯覚してしまいます。これが幻肢痛のメカニズムです。
末梢神経障害から中枢神経の問題に移行
末梢神経障害からどうして中枢神経の問題に移行してしまうのか。例えば椎間板ヘルニアなどの末梢神経障害から、体性感覚野の問題になってしまう場合。
最初は椎間板ヘルニアによって痛みやしびれが引き起こされます。その痛みやしびれが何か月も続くことによって、体性感覚野が過剰に活性化した状態が続きます。そうすると、椎間板ヘルニアが治っても、体性感覚野が過剰に働いたままになって、痛みやしびれが続いてしまいます。これは脳でネガティブな可塑性が起きてしまっています。可塑性とは、刺激が繰り返されることによって、脳や神経は構造も機能も変化してしまうことです。この場合は、痛みやしびれというネガティブな感覚を長期間感じていたことで、脳がその情報を認識しやすいように変化してしまっています。だから、椎間板ヘルニアが無くなっても、脳が勝手にあるはずのない痛みやしびれを感じ取っています。通常、椎間板ヘルニアは、2、3か月すると、体に吸収されるので、時間が経てばヘルニアはなくなります。それにも関わらず、痛みが続いてしまう場合、今言った脳でネガティブな可塑性が起きてしまっている可能性が考えられます。
次に、ストレスによって起こる感覚の異常について。例えば、ストレスで脳全体の働きが低下した状態になったり、逆に興奮した状態になることがあります。体に入ってくる刺激を正確に認識できなくなって、皮膚に不快感やしびれを感じてしまいます。原因不明や心の問題と言われてしまうことが多いのは、このストレスによる体性感覚野の問題です。ストレスでやる気の低下や、うつ病になってしまうのは、体性感覚野よりも、前頭葉の働きが低下してしまうからです。ですが、うつの人は脳全体の働きが低下してしまうことが多いので、前頭葉だけではなく、体性感覚野の問題を起こすことが多いです。それで、体がしびれたり、感覚が鈍くなってしまうことがあります。
中枢神経の機能的な問題は治るのか?
それで、みなさん一番知りたいことは、治るのかどうかということだと思います。これは治る可能性はあります。あいまいな言い方をしているのは、本人の努力が重要になってくるからです。例えば、2週間に1回だけ治療やトレーニングをして、それ以外、何もしないとなると治すのは難しいかもしれません。なぜなら、ポジティブな脳の可塑性を起こすためには、刺激を入れる頻度と量が必要になるためです。少ない回数の刺激で改善させるのは難しく、短期間で良くなるということはほとんどありません。人によってはもしかしたら、短期間で変わるかもしれませんが、生理学的に考えると、そういったことが起きる方が稀です。ちゃんとした治療を受けたのに、1度きりで行治療を止めてしまうと、治らないと思います。
では、どういったことをすればいいかと言うと、体に入ってくる刺激を正しく認識できるように、認知の訓練が必要です。例えば、手の甲の感覚に問題が起きていたとします。目を閉じてもらって、第三者が手のひらに、筆や指先で数字やアルファベットを書いて、何を書かれえたか当ててもらいます。あるいは、二点識別核と言って、1点または二点の刺激を同時に入れて、その刺激が何点か当ててもらいます。他にも指先を曲げて、曲げられている方向が分かるかどうか検査します。体性感覚野に問題があると、正しく判断することが出来なくなります。
問題が起きていた場合、この検査自体がトレーニングにもなるので、自宅でやってもらうことがあります。何度やっても分からない人は、検査しているところを目で見ててもらって、視覚から情報を入ることで、その刺激がどういった刺激か認識してもらうような訓練もします。
あるいは矯正(アジャストメント(ボキボキ))が効果的かもしれません。どういう時に使うかと言うと、先ほど少し説明した、脳のホムンクルスの形が変わってしまっているような状態の場合です。先ほど使ったこの図を例にすると、本来は、手の部分がもっと広くて、腕の部分が小さい状態が正常になります。だから、手に矯正のような、少し強めの刺激を入れることで、手から脳へ伝わる情報量が増えます。そういったことを何回か繰り返すことで、小さくなってしまった手の位置のホムンクルスが、腕の範囲まで広がり、手と腕の情報を正常に受け取れるようになることがあります。
このように、感覚の異常を改善するためには、適切な刺激を適度な量入れてあげることで、正常に戻る可能性があります。
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